七帝柔道記 (1)、(2)
増田俊也原作、一丸作画
ビッグコミックス
グレードの高いマンガ化作品

増田俊也作の『七帝柔道記』をマンガ化した作品。
原作は、物語自体非常によくできていて面白かったが、いかんせん、登場人物が多いせいもあって把握しにくく、しかも文体に少々違和感を感じさせる点が大きなマイナスだった。また、物語の中に出てくる柔道技や舞台の様子がわかりにくいという難点もあった(小説だから致し方ないが)。
そういう難点を克服するのがマンガ化または映像化で、このマンガは、まさに原作の面白さを踏襲しながら、登場人物の魅力なども存分に描き出すことに成功している。非常に優れた良いマンガ化作品と言える。
全6巻構成で、原作が文庫本600ページであったことを考えると、コンパクトにまとめ上げられていることがわかる。かと言って、大幅にカットという部分は、少なくとも2巻まではなかった。実にうまいマンガ化である。第1巻は「カンノヨウセイ」まで、第2巻は七帝戦前の学園祭あたり(原作の第6章)までが描かれている。ところどころ、マンガ特有のユーモアも交えられていて、そういう点も非常に面白い。曖昧模糊とした登場人物のイメージが、しっかり描写されているのが実に良い。特に登場人物の「和泉唯信」はユニークで、非常に魅力的である(実在の人物であるということに驚く)。
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