ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2
ブレイディみかこ著
新潮社
「ぼくはイエローで」の続き
同じノリで楽しめる
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の続編で、こちらも『波』という雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。今回のエッセイは全11本で、帯に「完結」と書いているところを見ると、おそらくこれで完結だと思われる。どうやら『波』の連載自体が終わっているようである。
前著同様、著者周辺の英国の暮らしと学校の事情が描かれ、大変興味深いんだが、さすがに前著ほどの衝撃はない。続きものであるから当然なんで、それについてはまったく不満はない。文章は前著同様、非常にこなれていて、随所に交えられるユーモア感覚も楽しい。
英国の教育事情、社会事情はなかなか大変なようで、それは日本もまあ似たようなものだが、それを考えると「欧米の教育は……」などという言説がバカバカしいものに響いてくる。ともかくどこにでも問題はあり、それぞれについて真剣に対処法を考えなければならないということになるんだろう……というような、ごくありふれた感想しか持てないのが悲しいが、読書なんてものはそんなもんだ。
非常に気になったのが、帯にある「一生ものの課題図書」などというフレーズである。「課題図書」という言葉が持つ押しつけがましさが実に不快で、僕自身は読書感想文も「課題図書」も嫌いなので、こういう売り方をする出版社に少し憤りを感じるのである。本は面白ければ読む。感想も人それぞれであり、何も感じなくても良い……というのんびりした発想で良いんじゃないかと思う。そもそも「課題図書」などという発想自体がこの本の内容とそぐわない窮屈さを感じさせるんだが、この帯の文句を考えた編集者は、そういうことに気付かなかったんだろうか。前著の帯にも同じフレーズがあったんで、編集者にとってこのコピーは「会心の作」のつもりなんだろうが、この本を読んでその程度の発想しか出ないんだったら、この本を読んだ価値がまったくないんじゃないかとさえ思う。「読書感想文」教育の弊害がこんなところに出ているのかと、少し腹立たしい気持ちさえしてくる。