これでもがん治療を続けますか

近藤誠著
文春新書

近藤節健在、その集大成

 『がん放置療法のすすめ』の近藤誠によるがん医療の最新知見で、『患者よ、がんと闘うな』の最新版というような位置付けの本。

 内容は非常にショッキングで、間違った外科手術、放射線治療でどのような結果が生じるかかなり具体的に書かれている。特に著者の専門である乳がんについては写真もふんだんに紹介されており、10cm以上もあるがんが体外に飛び出している写真なんかもあってぶったまげる。こう言うのを見ると、人間はがんになってもそう簡単に死なない(死ねない)という著者の主張も納得ができる。ちなみにこの患者のがんは放射線治療後著しく縮小している(その写真もある)。

 一方で放射線治療の危険性も指摘していて、むやみに使いすぎると、後遺症を生み出すことにも繋がると言う。外科手術同様、適した患者に正しい方法で処方することが重要であると主張する(ごもっともだが)。がんよりもがん治療が死因になることが多く、したがって医者の言うままにむやみに「最新治療」を受けるのは危険であると主張するのは、他の著書と同様である。抗癌剤の治験データが恣意的で信憑性がないということを具体的に示している点や、現代医療に対して痛烈に批判している点も他の著書と共通している。がんの転移のしくみについてもページ数を割いて詳細に説明していて、こちらは少々読みづらさがあるが、非常に示唆に富む話である。

 近藤誠の著書に対しては、医療界からいろいろな批判が寄せられているが、いろいろと比較検討してみても、近藤説の方がはるかに説得力がある。批判するに当たっては、少なくとも近藤氏くらい丁寧に解説する必要があるんじゃないかと思うが、そういうことはできていないで「読者が近藤に洗脳されている」みたいな言動を繰り返すのは筋違いというものである。総合的に考えると、従来の日本のがん治療に問題があったのは明白で、近藤氏はベールの下に隠された医療のブラックボックスを白日の下にさらしたわけである。近藤氏が20年以上続けているがん医療批判は、多くの日本人に光をもたらしたはずで、その功績は小さくない。僕自身もがんになったら最後まで様子を見るという方針で行くつもりである。もっとも今でも病院には極力近づかないようにしているし、多くの医者は信用できないと思っているが。

-社会-
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