健康診断は受けてはいけない

近藤誠著
文春新書

検診は「公共事業」だと

『がん放置療法のすすめ』の近藤誠による著作で、健康診断が役に立っていないどころか有害ですらあるということを繰り返し語る本。

 健康診断で「がん」が見つかり、手術などの治療をしたせいで結局死んでしまうというような事例がまま見受けられるが、そもそも症状が出ず健康診断でしか見つからないようなものは転移しない「がんもどき」であるため、そういう場合は基本的に治療は必要ないというのが著者の主張である。著者によると、実際、外科手術をして合併症が発生しそのために死期を早めるケースが多いという。これに関連して、海外の複数の研究で健康診断では寿命を延ばすことができない(むしろ死亡率を挙げる結果になっている)ことが示されているにもかかわらず、そのあたりのデータも、日本では意図的あるいは医師の無知から曲解されて、無理やり健康診断が有用であるという結論が導かれている。厚生労働省も企業に対して健康診断を義務付けて(押し付けて〉いるが、これも非常に悪質で、犯罪的であると著者は主張する。

 内容については概ね今までの著書の焼き移しで、『成人病の真実』『これでもがん治療を続けますか』をミックスしたような内容である。斬新なのは第9章の「検診を宣伝する者たち」で、医学界の権威の皆さんを、実名を挙げてバッサバッサと切り捨てている点。ここで俎上に上っているのは、東大医学部放射線科准教授・中川恵一、産婦人科医・宋美玄、聖マリアンナ医科大学乳がん検診センター付属クリニック院長・福田護、京都大学名誉教授・小西郁生、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授・勝俣範之ら。日野原重明までがぶった切られている。大変痛快ではあるが、名誉毀損で訴訟みたいな話になるんじゃないかと思わず感じてしまう。また多くの医者のことを勉強不足かつ能力不足、中身が貧弱などとも書いていて、(エラそうな)医者嫌いの僕にとってはこちらも非常に痛快。国が推進している検診は「税金から資金を補助し、産業を保護・育成する」という点で「公共事業」と同じだとする指摘はなかなか鋭い。

 近藤誠の他の著書と同じく、本書も非常に読みやすいし、理屈も非常に単純明解である。信じるか信じないかは読者次第だが、少なくとも医者に殺されるのはイヤだと感じるのは僕だけではあるまい。僕自身は、万一がんになったらジタバタしないで、天寿を全うする所存でいるが、もちろん実際にそういう立場になったらどうなるかわからない。これまで近藤誠の本を何冊か読んで、ある程度のカラクリがわかっているつもりなんで、その辺は存外うまく割り切れるのではないかとも思っている。

医学、生物学
本の紹介『成人病の真実』
-社会-
本の紹介『これでもがん治療を続けますか』
-社会-
本の紹介『がん放置療法のすすめ』
医学、生物学
本の紹介『ワクチン副作用の恐怖』
-社会-
本の紹介『大学病院が患者を死なせるとき』
-社会-
本の紹介『どうせ死ぬなら「がん」がいい』
-社会-
本の紹介『大往生したけりゃ医療とかかわるな』