日本は世界一の「医療被曝」大国

近藤誠著
集英社新書

またまた画期的な医療本
今度は医療被曝に切り込む

 これも近藤誠の著書。この本では、CTスキャンなどに代表される放射線検査によって引き起こされる被曝について説く。

 元々著者は放射線医であることから、この本で語られる内容もきわめて信憑性が高いと考えられる。実際、放射線を使った検査による被曝については、医者は非常に鈍感なところがある。それは多くの医者が何かというとレントゲンやCTを撮りたがる傾向からも実感として感じられる。しかしCTスキャンについては、確かに便利ではあるが、患者は相当量の放射線を受ける。本書によると、機種や浴びせる放射線によって異なるが、多い場合だと25ミリシーベルトを超えるという。ミリシーベルトという単位にまず驚くが、これだけの高線量であれば年に4回受けると100ミリシーベルトという驚異的な値に達してしまう。ちなみに100ミリシーベルトというのは、原発作業員の5年間の上限値である(これでさえ甘すぎるという議論がある。だが厳しくすると仕事にならないという実情があるため甘めに設定されている)。たしかに命に関わるなどという状況であれば、こういった検査も致し方ないが、現在CTは非常に安易に撮られている。何かというと「念のためCTでも撮っておきましょう」ということになる。患者の側でも「CT撮らなくて大丈夫ですか」みたいなことを言う人がいるらしい(本書によると)。以上のような理由から、医師の側も患者の側も安易なCT検査を止めるべきだ、と著者は主張する。ましてや検診でCT撮影を行うことは無意味を通り越して害しかないというのが著者の主張。

 今回、この本でCTによる被曝量を知って驚いたが、日本でCT検査があまりにも安易に使われていることはよくわかった。僕自身は検診を一切受けていないのでCTなど生涯受けたことがないが、気に留めておかないと今後なんとなくCTを撮られたりすることもないとは言えない。日本は特にCT設置台数が多いらしいし、CT神話も蔓延しているようなので、利用者一人一人が注意しないといけないということなんだろう。このあたりはがんの外科手術と同じで、うかつなことをしていると病院で危害を加えられるため、防衛策として知識が必要になるというわけである。

 本書には、実効被曝線量の計算式なども紹介されていて、CT検査を受けたときの被曝量を推定できるようになっているが、実際のCTの線量を病院側から教えてもらうことはなかなかできないため、あくまでもこれは推定値にとどまるというのが残念である。それでも指標があるのとないのとでは大きく違う。望むべくは、病院側がもう少しCTのデータに対してオープンになると同時に、医師の側も患者の被曝について敏感になってほしいという結論になる。

 内容は少々専門的な箇所もあるが、他の著書同様、著者の語り口が非常にうまいため、最後まで一気に読める。これを読んだら、少なくとも読んだ人の意識は大きく変わる。CT検査を過去に受けた人、これから受ける予定の人すべてに読んでほしい本である。

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