自転車の安全鉄則

疋田智著
朝日新書

傲慢な臭いがして気分が悪いが
提言については賛同する

 この著者の自転車関連本はこれまで何冊か読んでいるが、どうもなんとなく傲慢な臭いがして、あまり好きになれないのだ。もう少し謙虚になれないかなと思う。とは言え、本書は、これまでの著者の集大成と言っても良いくらい、内容がよく突き詰められて整理されている。タイトルは『自転車の安全鉄則』であり、内容の基軸もそういうことなのだが、自転車の安全性から自転車行政全般、自転車につきまとうさまざまな問題についてまで、非常にわかりやすく論じている。要は車道の一部を自転車専用道路にし、自転車の左側通行を徹底すべきだということである。そのあたりの理由については本書で詳しく解説されているので、興味のある方は読んでください。

 主張については、同じ自転車乗りとして全面的に賛成だが、やはりどことなく文章全体から傲慢な臭いがする。著者がギョーカイ人だからか? 同様の主張の本に『クルマを捨てて歩く!』(杉田聡著、講談社+α文庫)があり、こちらは著者の(良い方の)人間性がにじみ出ていて好感が持てる。