銀座ミツバチ物語
美味しい景観づくりのススメ

田中淳夫著
時事通信社

マニアの話は面白い

 銀座のビルの屋上で養蜂を始めた人のお話。以前、テレビで紹介されていたのを見た(『宇宙船地球号』だったと思う)が、その当事者によるレポートである。単なる思いつきで養蜂を始めるが、採れた蜂蜜を銀座の店で使ってもらうという方向に話が進んで、やがてコミュニティ全体に養蜂の波が広がっていく。養蜂を通じた街づくりに発展していく過程がわかりやすくレポートされている。

 働き蜂の寿命が30日程度で蜜を集めるのは最後の10日間とか、ミツバチの巣箱がスズメバチに襲われたときにハタラキバチが飼い主に知らせに来たとか、そういったミツバチの生態やエピソードが非常に面白かった。やはり、マニアが好きなことを語るのは、はたで聞いていて非常に楽しい。この人はホントにミツバチが好きなんだなあと思う。ミツバチの生態以外に(特に銀座の)街づくりについてもページが割かれているが、その部分は僕にとって少し退屈だった。

 これを読むと、ミツバチを飼ってみたくなる。