昭和史 戦後篇

半藤一利著
平凡社ライブラリー

一般市民感覚の戦後史

 『昭和史 1926-1945』の続編で、前著以降の昭和の歴史を語っている。

 これまで、自分が子供時代を過ごした昭和後期の時代と、戦前、戦中(つまり昭和前期)の歴史がまったく別物に見えていたが、この本を読むことで両者につながりが見えてきたような気がする。

 本書でも、昭和35年(1960年)頃の安保闘争を境に時代の空気が大きく変化してきたと書かれていた。昭和35年くらいまでは戦前の空気をいくらか引きずっていたということなのだろう。だから自分が実際に生きた時代に、戦中、戦後すぐの空気がなくなっていたのも理解できる。

 僕としてはこの頃(つまり昭和35年頃)までの記述が面白く、戦後のどさくさの状況は、歴史小説的でなかなか楽しめる部分である。

 著者の視点は、あまり凝り固まったところもなく、野次馬的で好感が持てる。実はこの野次馬的というのが重要で、一般市民の感覚に近いということである。非常に博識でありながらも嫌みがない。ご隠居の話をフンフンと聞くという感じに近い。それでいて鋭い洞察力と平衡感覚があり、示唆に富んでいる。最後に今後の日本の行く末に対して警鐘を鳴らしているが、これも手放しで賛同できる。

 読みやすく含蓄に富み非常に面白い。こういう本がベストセラーになったという話を聞くと(本当かどうかわからないが)、日本の出版界も捨てたもんではないなと思わせる。

-日本史-
本の紹介『昭和史 1926-1945』
-日本史-
本の紹介『幕末史』