飛び出せナース!
亀井紗織著
幻冬舎
「新しい看護」の道を拓く

訪問看護事業を行っている看護師、亀井紗織の半生記。
元々結婚までの腰かけのつもりで准看護師を始めた著者は、当初はまったくできない・やる気がない看護師だったそうだが、親しくしていた患者の死をきっかけに、看護の勉強をやり直し、正看護師の資格を取るまでに至る。同時に、病院で行われている看護に納得がいかず、訪問看護施設の立ち上げに関わり、訪問看護に目覚めていく。その後、自ら訪問看護施設を立ち上げ、地域で暮らす人々と医療をつなぐ役割を担い、真の医療を実現すべく奮闘しながら現在に至るまでを描いたのがこの本。
病院医療の問題は、病院に入院してみるとよくわかるのだが、特に重篤の患者は半ばほったらかしにされ、褥瘡ができたり、あるいはかえって病状が悪化したりということは良くある。おざなりの看護、医療がこういう患者を作り出してしまうという点で、著者の主張は十分納得できる。現代日本のように高齢化が進めば、いずれは著者の言うように訪問看護が中心になっていくのは目に見えているが、そこで良質の医療が担保されるかはまた難しいところではある。これは事業者の姿勢によるところが大きいわけだが、著者のように健全で真摯な姿勢で看護に取り組んでくれれば、利用者は安心である。こういった事業者が増えていくことを期待したいと思う。
なお著者は、新卒の看護師が、病院勤務を経ずに訪問看護に就くというルートも現在積極的に開拓しているらしい。こういうことを考えると、著者の活動は、今後の訪問看護の一つのロールモデルとして広く認識されるようになるかも知れないと思う。
本の紹介『介護現場歴20年。』
2024年11月28日