昭和史 1926-1945
半藤一利著
平凡社ライブラリー
近現代史にはミクロな視点が不可欠
1926年から1945年の敗戦までを通史的に(文字通り)語った本。
歴史というとどうしても大局的(マクロ的)な見方になりがちである。本当は人間対人間の局所的(ミクロ的)な営みの集まりの筈なのに……。
マクロ的な見方をするから、アジアから米英を駆逐するなどという壮大な発想が生まれてくる。本当のところは、自分が生きるか死ぬかというレベルでしかないのに。
何百年も前の出来事であれば、マクロ的な見方をしてもかまわない(現実にはそうするしかない)だろうが、直近の歴史ということになると、その影響力を考えた場合、自分を含めて家族や友人などの命がかかわるのであるから、ミクロ的な発想でものごとにあたらなければならない。歴史解釈もしかりである。近代史は、極力ミクロ的な見方で語っていただきたいものである。
著者は、本書において、まさにミクロ的な見方で近代史を語っているため、読者は本書を通じて時代の空気をそのまま感じることができる。時代の高揚感や閉塞感さえ伝わってくるように感じる。これを読んでいると、愚かしい人々がいかに市民をミスリードしていったか、市民の側もそれに乗っかって大騒ぎしたかがよくわかる。要するに、作者の言う「アホーな戦争をした」ということだ。
本書も講義録が元になっているので、非常に読みやすく、エンタテイメントとしても面白い。好著である。
本の紹介『昭和史 戦後篇』
2021年10月11日
本の紹介『幕末史』
2021年10月12日
本の紹介『日本軍兵士』
2021年10月21日
本の紹介『西園寺公望 最後の元老』
2021年9月25日
本の紹介『コミック昭和史 第1巻、第3巻、第4巻』
2021年10月19日
本の紹介『コミック昭和史 第2巻』
2021年10月18日
本の紹介『総員玉砕せよ!』
2022年7月14日
本の紹介『俘虜記』
2022年7月12日