火葬場で働く僕の日常
最期の火を灯す者

下駄華緒原作、蓮古田二郎作画
竹書房

火葬の現場は意外なことばかり

 タイトル通り、火葬場の日常を火葬場の職員の視点で描いたマンガである。

 火葬場という場所は、誰しも利用するにもかかわらず一般的にはその実態があまり知られていない。タブーで秘匿されているからという理由ではなく、単純にそれを外の世界に知らせようという人がこれまであまりいなかったために他ならない。このマンガの原作者、下駄華緒という人は、火葬の仕事について外の世界に伝えるという活動をしており(書籍も出ている)、結構有名なYouTuberでもあるらしい。このマンガでも、火葬の(外の世界から見るとかなり)ショッキングな実態(たとえば焼くときに遺体が起き上がって踊ったり、体液が全身から噴き出したりするなど)が伝えられるが、ショッキングではあっても職員が非常に丁寧かつ慎重にその職をまっとうしていることが窺えるため、印象は非常に良い。僕などは火葬の作業が焼却装置で半自動的に行われるものと思っていたため、上手く焼く上で職員の技術が必要だということがわかり、むしろそちらに驚いたのだった。職員の火葬技術がある意味職人芸に通じるということが、この作品を通じてよく伝わってきたのだった。紹介される火葬場でのエピソードはどれも面白いもので、エッセイマンガとしても上出来である。

 図書館で予約待ちの人が数百人いたため、手元に届くまで結構待ったが、待った甲斐があった本と言える。

-マンガ-
本の紹介『火葬場で働く僕の日常2』