英国一家、ますます日本を食べる
マイケル・ブース著、寺西のぶ子訳
亜紀書房
『英国一家、日本を食べる』の
続編……というより補完本
『英国一家、日本を食べる』の続編……というより補完本。どういうことかというと、この本、元々は『Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking』というタイトルで発行された英語の本だったんだが、紙数の関係か知らないが、『英国一家、日本を食べる』には、全部収録されていたわけではないんだな。それで前著で漏れていた箇所を集めて、それに書き下ろし部分をちょっとだけ追加したのが今回の『英国一家、ますます日本を食べる』。だから本来であれば、この2著で原著1冊分ということになる。
前著も面白い箇所を集めていて十分読み応えがあったが、この追加本にも面白いエピソードが山積み。特に著者の息子のエミルがブーブークッションを取りに枯山水の庭に入っていった話や、味の素と対決する話、京都の料理教室で教える羽目になる話などはかなり笑える。前著の秀逸さはこちらでも顕在で、前著とあわせて二度楽しめる。とは言え、これはやはり最初から1冊の本として出すべきだったとは思う。出版社にもいろいろ事情はあったんだろうが。それに2冊買うと3,700円近くになるが、原著をペーパーバックで買うと1,000円弱である。ちょっとぼったくりみたいな感じもしないではない。僕自身は日本語版の2冊は図書館で借りて読んで、ペーパーバックの方を買った。ただしペーパーバックは単語も少し難しめで、日本語版ほど簡単には読めないため、どっちを買うかは一長一短である。お金のある人は是非日本語版をお求めになるのがよろしい。
カバーについては前著ではあまり良い印象がなかったが、今回は前回のカバーを踏襲しながらも部分的に変えていたりして、間違い探しみたいでなかなか面白いデザインになっている(塔の上に立っていた忍者が飛んでいるとか、酒の銘柄が「仏自慢」から「英自慢」になっているとか)。あのちょっと野暮なカバーをおかしみに転じたセンスには少し関心した。