どうせ死ぬなら「がん」がいい

中村仁一、近藤誠著
宝島社新書

現代日本医療の反逆者による医事放談

 『大往生したけりゃ医療とかかわるな』の中村仁一と『がん放置療法のすすめ』の近藤誠との対談をまとめた本。内容は、当然のことながら、彼らの過去の著書の焼き直しになるわけで、そのため何が書かれているかは概ね想像できる。そしてその想像の通りだった。また上記の2冊の著書についても、本書の出版時と時期的に近いせいか、随時言及されている。

 両者の対談の中では、ガン治療の多くが無駄であること(外科手術や抗癌剤治療はほとんどの場合身体に害をなすだけで効果がない)や、年を取ったらいつまでも生に執着しないで死を覚悟して生きるべきという考え方が紹介される。また現在の医療のあり方の問題点、つまり医療業界が自らの利益のために患者を食い物にしているという話が披露され、なかなか小気味良い。彼らの視点が一般的な医療の常識と異なって独特であるため、当たり前だと思われていることが実はおかしいことなのだというようなことに気付く。それがこの両著者の魅力なんであるが、そういう新しい気付きを与えてくれるという点で、この本も良書と言えるわけだ。

 すべて対談で話し言葉であるため、非常に読みやすく、2時間もあれば読み終えられる。考えようによっては両著者のエッセンスが凝縮されていると捉えることもできる。全体的に中村氏が近藤氏の聞き手役という位置付けのように感じるが、後半は中村氏も積極的に自身の死生観を披露して中村節も健在である。現代にとって新しい医療観(ちょっと前までは当たり前だったものだが)に触れる入門書として恰好の素材ではないかと思う。

-社会-
本の紹介『大往生したけりゃ医療とかかわるな』New!!
-社会-
本の紹介『がん放置療法のすすめ』
医学、生物学
本の紹介『成人病の真実』