ひらがなでよめばわかる日本語

中西進著
小学館

「目からウロコ」の語源も紹介されるが
怪しげな説も割合多い

 やまとことばから日本語の語源をエッセイふうに解説する書。著者は万葉集研究で著名な(らしい)国文学者。

 内容は非常に意外性に富み、たとえば「目」や「鼻」、「耳」が「芽」、「花」、「実」と同語源だとか、「酒」、「盛り」、「咲く」、「岬」が、勢いの良い状態を表す「さく」という言葉から派生しているとか、今まで想像すらしなかった語源が紹介される。中にはにわかに信じがたいものもある。たとえば「神」の語源が「熊」と一緒だとか、「祭り」が「神の来訪をまつ」ことから派生したとか。多くは、万葉集の研究から生じた説だろうと思われるが、ホンマかいなと思ってしまうものが多かったのも事実である。しかし、これだけの密度で日本語の語源を解説したことは十分評価に値する。

 「こと」や「もの」の解説が少しもの足りなかったりとか退屈に感じる節もあったりするが、トータルで見ると画期的な本であると思える。僕自身、今後もときどき参照したいと思っており、持っていることに価値がある本と言える。

-国語学-
本の紹介『日本語の起源』
-英語-
本の紹介『英語の語源の話』