オトナの一休さん
NHKオトナの一休さん制作班著
KADOKAWA
一休さんは破天荒な破戒僧だった
トンチ小僧として有名な一休さん、つまり一休宗純だが、トンチ小僧の話はすべて作り話で、実は破天荒な破戒僧だったらしい。
かつてNHK-Eテレで、その破戒僧一休をモチーフとした5分間アニメが放送された。それが『オトナの一休さん』で、それをまとめて書籍化したのが本書である。
『オトナの一休さん』では、一休の破天荒ぶりが見所でなかなか面白かったが、本書でもアニメの部分がそのままマンガ風に掲載されている。もっともアニメといっても、放送時、ほとんどが静止画だったため、ほぼあのアニメ版そのものと言っても良い。喝01から喝23までの23喝(章)だてで、各喝はアニメの再現マンガ4ページで構成され、それに解説2ページが付いている。一休の生き方や哲学を、あのアニメ番組の構成作家(ふじきみつ彦という人)が解説しているんだが、正直わかったようなわからないような内容で、もちろんこういった解説はあるに越したことはないんだろうが正直何とも言えないところである。もっとも禅自体がわかったようなわからないようなものであるため、どう解説してもこの程度になってしまうのかも知れない。
なお、紹介されている一休の破天荒ぶりは、読経をしている弟子の前にお経の上に載せた一本糞を見せる、それを叱責する兄弟子に対して「無縄自縛」だと喝破する(喝01)、大燈国師(大徳寺の開祖)の100周忌の法要の際に隣の部屋で若い女性(地獄太夫)とイチャイチャし、それをとがめる兄弟子たちに対して、権力から離れ貧しい人々に交わっていた大燈国師の意に背いているのはお前らだと逆にたしなめる(喝03)など。
一休の思想や行動は非常に魅力的だが、今の段階では、先ほども書いたように「わかったようなわからないような」状態のままである。死ぬまでには一休の思想の片鱗を体得できる日が来れば良いと感じる今日この頃である。