レンズ付きトゲ抜き
「無用の用」のようなもの
手にトゲが刺さることは、そうそう頻繁ではないにしても、たまにあるもので、そういうときにそのトゲを抜こうとしてもなかなかうまく行かなかったりして、結構苦労することがある。
先日、某通販サイト(アマゾンではない)でトゲ抜き(東京セイル 15倍 レンズ付き ピント調節機能付とげ抜き ST-80DXFという商品)が安価で販売されており、こういうものが一つあっても邪魔になるまいと思って、購入に踏み切った。とは言っても、もしかして買ったこと自体を忘れ去り、永遠に使わないまま引き出しの中の肥やしになってしまうという可能性も大いにある。それでも、値段が安かったので保険ぐらいの軽い気持ちで1個買っておいたのだった。どうせ使わないだろうがという思いもありつつ、せめて忘れないよう、引き出しの中の目に付く箇所に置いておくようにはした。
だが実際には、トゲが刺さる状況は思っている以上に発生するもので、結果的にすでにこれまで2回使うことになった。実際使ってみたところ、レンズを覗きながらトゲにアクセスできるというのが意外に便利で、これまで針を使ってさんざん切り散らかしてやっと探し当てていたトゲが、かなり正確に、まさにピンポイントで引っこ抜けたのだった。これは想像以上に便利である。
一度目などは爪と皮膚の間に木のかけらが刺さるという特殊なケースで、(大きい部分は手で取ったことから)小さいトゲが中に残っていたような気もしたが、詳細はよくわからないという状況。しかしレンズを覗くことで、トゲの存在を確認することができ、その上で無事にトゲを引っこ抜くことができたのである。このトゲが実は5ミリほどもある結構大きな代物で、それもあって、取れたときは「会心」の心境になった。二度目については、トゲが刺さっている感覚があったが、レンズでよくよく調べるとトゲがないことが判明したという状況で、こちらも結果的に大いに役に立ったことになる。
最近、出先で使うためにもう一つ、別の商品(Carson マグニファイグリップ・MG-88〈LEDライト/ピンセット付き4.5倍率拡大鏡〉という代物)も購入してみたが、こちらも使うことはまずないだろうと思っていたところ、先日早速使うことになり、ものの数秒でトゲ抜き作業を完遂することができたのだった。もっとも昼間だったこともあって、内蔵されているというLEDはまだ使っていない(そのためLEDについては有用なのかどうなのかよくわからない)。ただ、東京セイルの奴と違って、遠目でそのまま覗きながら扱えるため、使い勝手はこちらの方がはるかに良い。コンパクトさではマグニファイグリップの方が優れており、倍率もはるかに高いため、状況によってはこっちの方が優れものになるかも知れない。
使うことはないだろうと思っていたにもかかわらずいざとなると非常に有用というのも、荘子の「無用の用」を思わせ、なかなか面白いものである。防災グッズ同様、保険のつもりで一家に1つ常備しておけば意外に頼りになる存在になるんじゃないかとも思う。