文具メーカー、プラスのスマッシュヒット製品、それが「フィットカットカーブ」という商標のハサミ。10年ぐらい前に発売され始めたと記憶していますが、最初に使ったとき、そのあまりの切れ味に驚愕した製品です。

 挟んで切るタイプの切断器具(ま、つまりハサミのことですが)で、もっとも良く切れる角度が30度だということらしいのですね、メーカーによると。だから、かどうか本当のところはよくわかりませんが、ハサミで紙を切るとき、ハサミの根元まで紙を入れて切ると、最初の方は良く切れるが、途中からキレが悪くなる……ということがよくあります。そこで、常に良く切れる角度、つまり30度を維持するような形状にすればどうだ!ということで、利用されたのがベルヌーイ曲線。結果的に刃先が全体的に少しばかり膨らんだ形になりました。実際にゆっくりこのハサミを閉じてみるとわかりますが、刃が噛み合う箇所がほぼ同じ角度を保っています。普通のハサミだとこうはいかない。比べて見れば一目瞭然です。

 まさにハサミを進化させた、あるいは再定義したと言っても過言ではない品物です。おそらく、特許権みたいなもの(あるかどうかわかりませんが)が切れれば、この形状がほぼすべての工業製のハサミで採用されるようになるんじゃないかと思います。工業技術の賜物と言えます。

 なお、この「ベルヌーイ曲線」という言葉、聞いたことはあるがよくわからないという類の用語です。少し調べてみると、らせん形(「対数螺旋」というらしい)のことを言うようで、言って見れば黄金比みたいなもののようです。このプラスのハサミはらせん形でもないし、その曲線とベルヌーイ曲線にどういう関係があるのかは正直なところよく見えてきません。ただプロモーションの方法として考えると、「ベルヌーイ曲線」という言葉を推しているのは、「よくわからないけど何かすごそう」と思わせるという意味で、マーケティング戦略としてはアリなのかなとも思います。とにかく一度使って見ると、感触の違いに驚くこと間違いなしです。ただ付属のキャップは要らないと思います。

 また、ペン型に折りたためるハンディなタイプのフィットカット式ハサミもあります。この形も驚き!

モノ
ちいさいことは良いことだ
モノ
サラサ礼賛
モノ
トゲ抜きにレンズがあっても良いじゃないか
オピニオン
モノに対する考察