医原病
「医療信仰」が病気をつくりだしている
近藤誠著
講談社プラスアルファ新書
医療によって病気が作り出されている
というパラドックス

『患者よ、がんと闘うな』でお馴染みの近藤誠が医療信仰の弊害について語る本。2000年に出版された本で現在絶版である。
医療に依存しすぎ、信用しすぎの現代社会で、医療が人々の寿命を縮める結果になっている現状を告発する。著者はかなり前から、がんの外科手術のほとんどは無用どころか、患者をいたずらに苦しめ寿命を縮めるだけという告発をしていたが、その後、健康診断の問題点(『健康診断は受けてはいけない』)、ワクチンの危険性(『ワクチン副作用の恐怖』)についても告発している。また成人病(「生活習慣病」)が、医療界が適当に決めた「正常値」によって作り出されるという点も告発してきた。多くは、医者が好む「エビデンス」をふんだんに使いながらの説明であるため、説得力があるし、説明も非常にわかりやすい。
本書は、そういった告発本に先立つ存在で、10章に渡って、ワクチン、抗菌薬、がんの外科手術、「特効薬」の正体、健康診断、がん検診、成人病に関する問題点を暴いていく。他に、多くの医者が経済原理で動いていること(ある意味当然だが)、医学団体が利権の温床になっていること、医療関係者と製薬会社が密接につながっていることなども暴露していて、医療界が決して、手放しで信頼して良いものではないことを主張する。
こういった利害関係はどのような業界にもあって信用できない領域はどこにもあるんだが、こと医療ということになると、利用者が過剰に信用・信頼を寄せているという事情がある。これが、医療によって作り出される病気、つまり「医原病」をはびこらせる原動力になっているというのが著者の主張である。
先ほども述べたが、近藤誠の著書はどれも読みやすく、しかもわかりやすい上、しっかりした「エビデンス」も提示しているため、ある程度信用がおけると思える。少なくとも、全幅の信頼と信用が置かれている事物に対して疑問を抱くのはリテラシーの第一歩であり、そういう点で、医療についてもう一度自分の目で見直して、自分の頭でしっかり考え直したいという人にとっては、非常に適した著書ではないかと思う。









