大人のための文章教室

清水義範著
講談社現代新書

文章表現に関するエッセイだと考えれば良い

 『清水義範の作文教室』『わが子に教える作文教室』で、子どものための作文指南を展開した清水義範が、大人向けにも作文指南をしたというのがこの本。『わが子に教える作文教室』と同じ講談社現代新書であるため、あの本の続編みたいな位置付けと言える。

 全11講立てで、8講から11講までが種類ごとの文章指南(手紙、実用文、紀行文、随筆)で、その他の講は、文章作成にまつわる各論(接続詞、句読点、文体など)という構成である。

 タイトルにあるように「文章教室」には違いないが、どちらかというと、エッセイの延長というイメージで、文章にまつわるあれこれについて、著者なりの意見をまとめてみたという風情である。だから具体的に「文章はこう書くべし」というような本ではない。それは著者自身も「はじめに」で断っているし、僕自身もそういうものを期待していたわけではないが、文章というものに対して前2著ほどの具体性がなく、子どもの作文ほどの意外性や面白さもないため、多少の物足りなさは感じる。ただし、どの講も大変読みやすく、文章というものに対して考えるきっかけにはなる。実際、そのあたりが著者の狙いだったんだろうと思う。

 このように、タイトルで示されているテーマに従って著者の意図通りに書かれた本であるため文句を言う筋合いのものではないんだが、それでもやはり少しばかり物足りない感じが残るのは確かである。

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本の紹介『文章力!』
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本の紹介『浜文子の「作文」寺子屋』
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本の紹介『清水義範の作文教室』
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本の紹介『わが子に教える作文教室』