更級日記 平安時代の元祖文系オタク女子の日記

菅原孝標女原作、清水康代著、川村裕子監修
双葉社

更級日記ダイジェスト

 『更級日記』のマンガ化作品。

 『更級日記・蜻蛉日記 ― NHKまんがで読む古典2』でも『日本人なら知っておきたい日本文学』でも『更級日記』をマンガ化していたが、どちらも中途半端で、ほとんど物語オタクだった若い頃の話で終わっていた。一方でこの清水康代版は、菅原孝標女が『更級日記』を書くようになったいきさつまで網羅しており、ほぼ全体をカバーしている。また随時原文も掲載されているため、古文の苦手な人の古文入門書としても適している。先の2冊と比べると後発であるだけにそれなりの特徴がなければ存在意義がないわけだが、この本は原作を網羅しているという強みがある。また『更級日記』のテーマ性も再現していて、味わい深い。世の無常も感じられる。

 作画はそれほどきれいではないが、登場人物の描きわけもちゃんと行われているし、『更級日記』入門、古文入門の素材としては格好の本であると言える。ところどころ『日本人なら知っておきたい日本文学』とかぶる表現があるが、あの本が参考文献リストに載っているので、適宜拝借したのかも知れない。

-マンガ-
本の紹介『更級日記・蜻蛉日記 NHKまんがで読む古典2』
-マンガ-
本の紹介『日本人なら知っておきたい日本文学』
-評論-
本の紹介『百代の過客』
-マンガ-
本の紹介『あさきゆめみし完全版 (1)〜(10)』
-マンガ-
本の紹介『とりかえ・ばや (1)〜(13)』