子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す!
「自己肯定感」育成入門

平岩国泰著
夜間飛行

コーチングのためのコーチング素材

 アフタースクールの活動に長く携わっている著者が、著者の考える理想的な子育ての方法について紹介する本。

 最近特に自己肯定感のない子ども達が増えていることを実感している著者は、子育ての第一の眼目は自己肯定感を付けさせることで、子育ての目標は子どもを自立させることであると言う。そのために子どものやることにあれこれ介入しすぎることなく、一歩引いた場所から支援するだけに止めるようにすべきという意見である。至極正論である。

 周りを見ると、親が子どもの生活に介入しすぎている事例が非常に多く、それがトラブルの原因になっていることもある。こういうのは第三者として見ていると「お節介が過ぎる」と感じるものだが、当事者には気付きにくいものである。したがってこういう本で、指摘してもらい自分の態度を改めるというのも、親子関係を改善する上で非常に良いと思う。親の大事な役割は「家庭内に子どもにとっての安全基地を作ってやること」という主張は、「ひきこもり研究の権威」、斉藤環の主張とも共通する。

 この本で対象になっているのは、概ね小学生の子どもを持つ親であり、そのため今の僕にはあまり参考にならないが、それでもこういうことに気付いていれば、自分自身の親子関係ももうちょっと良くなっていたんではないかと感じることが多い。特に前半部分は「子どもを他人と比べるのではなく〈ちょっと前の子ども〉と比べよう」とか「〈親は親、子どもは子ども〉という感覚を持つことが大切」とか、あるいは「〈短所〉は克服させようとしない」とか、子どもと接する上で(また大人でも他人と接する上で)大変参考になるメッセージがある。

 こういう感覚が共通意識として日本で定着してくれば、ひきこもり事例も減っていき、同時に幸福感を持つ人々が増えていくんではないかと感じる。なにしろ画一的な発想で子ども達を追い込む人々が、親を含め、多すぎるのが現代ニッポン。みんなもっと余裕を持ったらどうだと思う。

-社会-
本の紹介『「ひきこもり」救出マニュアル〈理論編〉』
-社会-
本の紹介『「ひきこもり」救出マニュアル〈実践編〉』
-社会-
本の紹介『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』
-教育-
本の紹介『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』