ひきこもり500人のドアを開けた!
精神科医・水野昭夫の「往診家族療法」37年の記録
宮淑子著
角川マガジンズ
立派な取り組みだと思う……が……
ひきこもりの往診治療を行っている宮崎市在住の精神科医、水野昭夫の治療や人となりを紹介する本。
著者は元新聞記者のフリーライターで、水野とも長きに渡って個人的に付き合いがある人。水野の手法は、ひきこもりを抱える家庭に赴き(つまり往診)、そこで当事者だけでなく家族関係についても診察し、その上で対策を考えるというものである。場合によっては宮崎にある自分の病院や施設に当事者を引き取るという方法も使用する。水野の基本的なスタンスは、ひきこもりの病理が当事者だけでなく家族が原因と考えるというもので、家族関係に焦点を当てる手法は斬新と言える。
この水野医師、ひきこもりの人々を支援するための関連施設を宮崎に10以上持っていて、医者というより実業家という印象も受けるが、こういった施設を建てていく過程も本書で紹介されている。あくまで患者のためであり決して営利主義ではないことがこの本からは窺われるが、本当のところはわからない。
患者の事例もいろいろと紹介されていて参考にはなるし、この水野医師のアプローチ自体、的を射ていると思うが、どこか引っかかるものがある。この本と作者自体についてもなんとなく引っかかるものがあるんだが、原因がよくわからない(タイトルが広告みたいで扇動的ということもある)。少なくとも両手を挙げて賛同するという感じではないのだ。原因はわからないが。
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