高校中退
不登校でも引きこもりでもやり直せる!

杉浦孝宣著
宝島社新書

高校生がリストラされてしまう社会

 不登校・高校中退者のための学校を主宰している著者が報告する高校中退の現状。

 日本では現在、高校中退者が年間5万人以上もいるらしく、学校生活に合わない生徒も当然いるだろうが、一方で学校から放擲されるような生徒もいるという。たとえばスポーツ奨学生として入学したが、故障などでそのスポーツを続けられなくなったあげくに肩たたきにあうなど、少年少女の人権などあってないかのような所業が日常的に行われている現実があるそうだ。実際僕の周りでも高校中退者がいるわけで、高校側が面倒そうな生徒をどんどんリストラしている現状ってのは確かにあるようだ(生徒を辞めさせる際は「高校は義務教育じゃない」と言うのが決まり文句になるらしい)。

 ところが一方でこういう生徒がやり直しできる環境というのは皆無に近い。転入できる高校が他にあるわけでもなく(多くの地域・学校には転入制度自体がなく、あっても敷居が非常に高い)、実質的には通信制高校で卒業資格を目指すか高等学校卒業程度認定試験(以前の大検)を受けるという手段しかない。もちろん通信制高校にしても、それを取り巻く環境は少しずつ改善されているが(たとえば「サポート校」など、通信制高校の卒業を支援する通学制の施設も増えている)、それでも、いったん高校で挫折してしまうとやり直しが利かない状況はいまだに続いているわけで、こういう状況は戦後75年以上も変わっていないわけだ。

 本書の主張は、少なくとも高校レベルで転入や転校ができる環境を作っていくべきだというもので、同時に現在の制度が、いかに少年少女の向上心を損なうものであるかを訴えていく。ケーススタディとして、著者の塾に通っていた生徒の状況が紹介され、具体的な状況がよくわかるようになっている。また、高校中退やひきこもりの子供達に対して、周囲の大人はどう接し何を目指させるべきかについても触れられている。全体的に強気な主張が鼻に付くが、高校中退の現状がよくわかる点で評価に値すると思う。

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