猫楠 南方熊楠の生涯
水木しげる著
角川文庫ソフィア
稀代の大博物学者は同時に大奇人でもあった
博物学の大家、南方熊楠の生涯をマンガで描いた伝記。相当戯画化されており、とんでもない人物に描かれている。
南方熊楠には個人的に多少興味があったが、さりとて伝記を読むほど興味があるわけでもなく、簡単に読めるようなものがあったらいいナと思っていたら、水木しげるのマンガがあったという次第。だがそこに描かれる人物像は、奇人としか言いようのない怪人である。だがこれはこれで全体に筋が通っており、破綻はない。このマンガ自体に優れた伝記映画みたいな味わいもある。実像もおそらくこういうイメージに近かったんだろうと思わせる。
マンガの方は400ページを超える大作で、できも良い。狂言まわしを努めるのが「猫楠」という名前の猫で、南方熊楠がこの猫を飼っていて、熊楠が猫語でこの猫と会話できるという設定(なんでも熊楠は18カ国語を話せると言われているらしく、だから猫語だってOKということ)になっている。説明的な部分は、この猫と熊楠、他の猫などとの会話の形で紹介される。マンガという媒体であるため、猫がしゃべっていてもそれほど不自然さはない。
ともかく熊楠という人間がわかる作品で、いずれにしろ、この南方熊楠という人、決してお友達になりたいようなタイプではないなと思った。南方熊楠に対する先入観は、本書で180度転回したのであった。
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2023年2月28日
本の紹介『のんのんばあとオレ (マンガ版) (1)〜(2)』
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本の紹介『のんのんばあとオレ』
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本の紹介『水木しげるの泉鏡花伝』
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本の紹介『マンガ古典文学 方丈記』
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