コミック昭和史 第1巻 関東大震災〜満州事変
コミック昭和史 第3巻 日中全面戦争〜太平洋戦争開始
コミック昭和史 第4巻 太平洋戦争前半

水木しげる著
講談社文庫

同時代の視点による昭和史
描かれる軍隊生活が暗くつらい

 先日紹介した『コミック昭和史 第2巻』に引き続き、第1巻、第3巻、第4巻も読んだ。

 第2巻のような時代背景説明のややこしさは少なく、どれも第2巻より読みやすかった。この本がなんといっても優れているのは、時代の空気がそのまま表現されているところである。物資の欠乏や翼賛政治による不自由さだけにとどまらず、戦勝で浮かれたり騒いだりする人々の空気も伝わってきて(多くの人々はむしろ戦争を望んでいたようだ)、同時代に生きていなければわからないような当時の時代性というものが伝わってくる。著者のエッセイ『ほんまにオレはアホやろか』ではよく伝わってこなかった部分も、非常にわかりやすくなおかつユーモラスに描かれていて、著者の力量にあらためて感服するところである。そのあたりはやはりマンガ家で、マンガという手法が著者の自家薬籠中のものであることが非常によくわかる。

 第4巻で展開されるのは軍隊に入隊していた頃の話である。万年二等兵の著者が上等兵に殴られたりいびられたりするというもので、内容が大変不愉快であるが、著者自身はこれを実体験として経験しているわけで、さぞかし無念であったろうと察せられる。その辺の鬱屈も表現されていて、「軍事もの」→「反戦もの」としても優れた書になっている。すばらしい。だがこのあたりは大変暗く、少し息が詰まる。早く戦後に跳びたいと思わせるものがあるが(これもその時代の空気を反映していると言える)、次の第5巻も「太平洋戦争後半」で大半は戦場である。しかも激戦で腕をなくすという壮絶な箇所である。第5巻は跳ばして次に行こかな……とふと考えたりしている。

-マンガ-
本の紹介『コミック昭和史 第2巻』
-マンガ-
本の紹介『コミック昭和史 第5巻〜第8巻』
-マンガ-
本の紹介『総員玉砕せよ!』
-日本史-
本の紹介『昭和史 1926-1945』
-日本史-
本の紹介『日本軍兵士』