パリ、愛してるぜ〜

じゃんぽ〜る西著
飛鳥新社

現代のマンガ家による『ふらんす物語』

 『モンプチ 嫁はフランス人』のじゃんぽ〜る西の出生作(おそらく実質的なデビュー作)。2007年の雑誌(『Office YOU』)連載をまとめたもので、初版発行は2011年である(なお現在は別の出版社から文庫本として再版されている)。

 若い頃、他のマンガ家のアシスタントをやっていた著者は、突如思い立って渡仏し、ワーキングホリデーを利用して1年間パリで暮らした。動機としては元々バンドデシネ(フランスのマンガ)への関心が高かったことが大きいようだが、その際にフランスで経験したことをまとめたのがこのマンガである。

 日本人とフランス人の習慣や生活が大いに異なることから、日本での常識が通じないことも多いため、多くの日本人はそういう部分で戸惑ったりするわけだが、著者はそういった文化ギャップもパリ生活の一部として受け入れ、それをギャグタッチのマンガとして昇華している。自己主張が強いフランス人に驚きつつも、街角に歴史やエレガンスを日常的に感じる毎日を、面白おかしく表現しているわけである。

 著者は渡仏してから1年後に帰国するが、その後日本でフランス人ジャーナリストと出会い、彼女と結婚して子どもももうけることになった。そのあたりの顛末は、『モンプチ 嫁はフランス人』をはじめとする別の著書で描かれているが、僕はそちらの方を先に読んでいたため、僕にして見れば、本書は「若き日の西」が垣間見れるという要素の方が大きかった。だが、このマンガでは、異文化交流の面白さも存分に描かれており、そういう視点でも大いに楽しめる内容になっている。もちろん、そういった側面を取っ払って単にギャグマンガとして読んでも十分楽しめる内容ではある。

-マンガ-
本の紹介『モンプチ 嫁はフランス人』
-マンガ-
本の紹介『私はカレン、日本に恋したフランス人』
-随筆-
本の紹介『フランス人ママ記者、東京で子育てする』
-マンガ-
本の紹介『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』