和歌のルール
渡部泰明編
笠間書院
和歌の修辞の基礎
タイトル通り、和歌のルール、修辞法について解説する本。編者は『古典和歌入門』の著者である渡部泰明。
枕詞、序詞、見立て、掛詞、縁語、本歌取り、物名、折句・靴冠、長歌、題詠の10章立てになっており、章ごとに異なる和歌研究者が解説していく。どれも非常にわかりやすく、著者たちが感じているであろう、和歌の面白さが十分に伝わってくる。掛詞の章で、「立ち別れいなばの山の峰におふる」の歌を二段構成で図式化していたりするのも面白い表現である。
とは言え、ほとんどが高校で教わるような比較的基本的な事項であるため、目新しさはあまりない。この本の特徴は、あくまでも和歌の技巧に対するアプローチの方法であり、和歌入門という位置付けから出ることはない。だが良い本であるのは確かで、手元に一冊置いておきたいと思う。