不登校は1日3分の働きかけで99%解決する

森田直樹著
リーブル出版

試論としては面白いが
それほど単純ではなさそうだ

 長年子どものカウンセリングに従事してきた著者が、不登校の処方箋について語る。

 タイトルが示すように、1日3分間子どもの長所を褒め(著者はこれを「コンプリメント」と呼ぶ)続け、その記録を付けていくというというのがその処方箋で、要は自信を失っている子どもたちに自信を付けさせる(子どもの心の中のコップを「自信の水」でいっぱいにする)ということらしい。本書では、具体的な実践方法とケーススタディがいくつか紹介されている。著者によると、成功率は99%ということらしい。

 方法論が斬新かつ単純でしかも理に適っているんで、この方法論に異論はないが、ただこれで不登校の99%に対応できるかというと少々疑問が残る。僕自身も不登校の子どもと話をする機会があるが、必ずしもそこに収束させることはできないんじゃないかと感じる。とは言え、有意義な方法だとは思うし、不登校の子どもを抱えている親は試してみる価値はあると思う。実際Amazonのカスタマーレビューでもほとんどの読者が「☆☆☆☆☆」を付けていて、実践して成功したという例も書かれている。おそらく不登校を解消できた親にとっては、この本は福音以外の何ものでもあるまい。そういう意味で価値の高い本であるのは確かだ。

 ただし、誤植が非常に多く文章も少々雑で、本としての完成度は低いと言わざるを得ない。Amazonで「ベストセラー1位」が付いているほど売れてるんだから、刷や版を重ねる際にしっかり校正してほしいと思う。出版元が地方の小出版社であるからだなどと思われるのは不本意ってもんだろう。他のしっかりした地方出版社の印象まで悪くなる。

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