数学の学び方・教え方

遠山啓著
岩波新書

算数・数学を教える人々には
一度は読んでいただきたい本

 数学教育に造詣が深い遠山啓の数学教育に関する著書。

 「量」、「数」、「集合と論理」、「空間と図形」、「変数と関数」の5章立てになっており、それぞれの章で、小中学の数学教育を念頭に置きながら、数学の概念について議論を進めていく。特に量と数の理論や分数の概念については目からウロコで、大変面白く、こういった概念について考え直す上で非常に役に立つ。ただ後半はあまり感じるところがなく、特に「空間と図形」で非ユークリッド幾何学なんぞ持ち出された日には、少々白けてしまう。「変数と関数」もややありきたりであった。

 やはり、この遠山先生、初等教育論がずば抜けていると感じた。現在採用されている教科書についてその出自から説きおこして批判を加え、どういう内容にした方が子どもたちにとって理解しやすいかまで丁寧に解説しているのは、著者ならではである。また分数の割り算の説明も秀逸であった。どうしても多少わかりづらい面は残るが、それでも説明としては非常に合理的である。数字だけで説明する方法もあるが、あれよりよほどグレードが高い。

 著者の岩波新書には他に『数学入門』という本もあり、この本と重なる部分もあるが、こちらもなかなか読み応えがありそう。

-数学-
本の紹介『零の発見』
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本の紹介『マンガ おはなし数学史』
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本の紹介『なぜ分数の割り算はひっくり返すのか?』
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本の紹介『数学受験術指南』
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本の紹介『世にも美しい数学入門』