「空気」を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる

鴻上尚史著
岩波ジュニア新書

「世間」とは何かという認識から始まる

 学校などのコミュニティで同調圧力を感じたり理不尽なルールに従わされたりすることに不満を訴える若い人々に対して、人に合わせて自分を殺しながら生きる必要はないということを説く本。岩波ジュニア新書の1冊ということもあり、中高生向けの語り口で書かれている。

 まず日本社会の特質について分析し、日本社会は「世間」(知っている人同士のコミュニティ)で成り立っており、「社会」(知らない人同士のコミュニティ)としての要素が少ないことを紹介する。そしてこの「世間」が幅を利かせているせいで、過剰に遠慮を強いられたり、空気を読むことを求められたりするのだと言う。そのため、この「世間」に対して、それが「世間」であるという認識を持ち、「世間」から強いられる不快なことに必要以上にコミットしないことが重要とする。要するに「世間」(コミュニティ)が一つしかない状況を打破し、小さい関係性(別のコミュニティ)をあちこちに持てば、あるコミュニティで嫌なことを強いられてもそれを無理にやる必要はなくなるだろうという、割合ありきたりな結論に落ち着く。ただ「世間」と「社会」をしっかり識別して、「世間」に気を遣ってしまう習慣を止めようという提案は大いに有用であると思う。

 ちなみにこの「世間」と「社会」は、同じ著者の『クール・ジャパン!?  外国人が見たニッポン』でも同じように議論されていた。青少年向けにここだけ取り出して優しく語り直したという感じか。200ページ弱の本だが、語り口が平易であることもあり、1時間程度で読める。

-社会-
本の紹介『クール・ジャパン!?』
-教育-
本の紹介『学校ってなんだ!』
-社会-
本の紹介『「集団の思い込み」を打ち砕く技術』
-社会-
本の紹介『正しさをゴリ押しする人』