ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?
脳と身体がよみがえる!「睡眠学」のABC

ウィリアム・C・デメント著、藤井留美訳
講談社

睡眠の大切さを語る睡眠概論

 睡眠科学の権威、デメント(『脳は眠らない』にもたびたび登場した)による、睡眠全般を扱った概論的な書。「概論的」ではあるが、睡眠のしくみや睡眠障害にまで広範囲にわかりやすく語られており、非常に読みやすく有用な本である。

 ヒトは一定の睡眠時間を取らないと、足りない分が睡眠負債として蓄積されていく。現代人は睡眠を過小評価しており、ややもすると睡眠時間が削られる傾向にあり、こういう状態が続くと、睡眠負債が大きくなり、集中力や労働効率も低下していく。睡眠負債があまりに大きくなると、自然に短時間の眠りを取ることになる。こういうものがドライバーやパイロットの事故の原因になることが多いという。この本を読むと、睡眠がいかに大事か認識を新たにできる。

 また他にも、睡眠に入るまでの脳波の変化(睡眠のしくみ)や、睡眠負債と体内時計の関係(なぜ午後眠くなるのかという回答になっている)など、睡眠科学の最先端(?)の研究結果にも触れることができる。夢遊病やナルコレプシーなどの睡眠時障害、年齢に応じた眠りの変化などにも触れられているなど非常に多方面にわたって記述されており、睡眠雑学的な側面も持つ。巻末には自分の寝不足度と最適な睡眠時間を探るためのテスト方法なども具体的に紹介されており、「睡眠大全」と言っても良いほどの密度である。翻訳もなかなか良く、非常に読みやすい良書であった。

医学、生物学
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本の紹介『子どもの夜ふかし 脳への脅威』