プラスワンのささやかな贅沢……JBL CLIP 4

 昨今、手軽なワイヤレス・スピーカーが売られていて、手元に1台あったらいろいろ使えて便利じゃないかと思いいろいろ物色していたところ、JBLブランドが目に飛び込んできたのだった。しかも値段が4千円台などというものもある。JBLが4千円! JBLといえば、かつて東京渋谷のとあるオーディオ・ショールームでその音に驚愕した経験のあるブランドで、それが4千円とは。もちろんこの超小型スピーカーがあのスピーカーと比ぶべくもないことは容易に推測できる。何よりあちらのスピーカーは値段が10万円近くしたような記憶がある。しかしそれでもJBLブランドのスピーカーが1万円を切るとはちょっとした驚きである。

 それでまあいろいろと調べてみると、「小型ワイヤレス・スピーカー」という括りのこのあたりの商品ラインアップはどのメーカーでも数千円からせいぜい数万円という価格帯で売られている。中には聞いたことのない怪しげなメーカー名もあり、こういう製品は粗悪品である可能性もあるため、できれば信頼できるメーカーのものを選びたいということで、対象をあのJBLの製品に絞った。

 現在のワイヤレス・スピーカーの主流はBluetoothのもので、当然そういったものを探すわけだが、Bluetoothのものは概ね電力を大量に消費するため、バッテリーの消耗が激しいのが普通である。そういう条件を考慮し、1回の充電で10時間稼動するというJBL CLIP 4という製品を選んだ。形は少し野暮だが連続稼働時間優先ということである。これが某通販サイトで6千円ちょっとであった。JBLが6千円ちょっとで買えるのか!とあらためて思う。もちろんJBLという看板はあっても、値段が値段なので音質はそれほど期待していない。基本的には携帯性の便利さが優先である。それに(今どき)モノラルと来ているので音質云々ではあるまいとも思う。もっともこの類の製品はステレオのものがあまりないようである。

 ともかく「鳴れば良い」ぐらいの気持ちで手に入れ、音楽サーバーにしているMac miniからこの製品にBluetoothで接続したわけだ。接続はいとも簡単で、すぐに音楽が鳴り出した。そういう点でもよくできていると言える。以前は接続するだけで一苦労というようなBluetooth製品も多かったしね。

 で、実際に使ってみてその音質に驚いた。超小型スピーカーであるにもかかわらず、奥行き感があるというのか、少なくとも数千円という価格から想像される安っぽい音ではない。それにスピーカーの側から音楽を停止したり、次の曲にスキップしたりという操作ができ(そういうスイッチが付いている)、手元で遠隔のパソコンを操作できることになる。これが意外に便利に感じる。

 最大の難点は、紹介されている写真のように立てて使うことができないことで、寝かせても音質自体は悪くないが、直接音が耳に届かない感じがするため、多少不満を感じる。で、そういうユーザーが多いのか知らないが、立てて使えるようにする保護ケース(kwmobile JBL CLIP 4保護ケース)などというものも売られている。結局こちらも追加で買うことになったので出費は8千円を超えたが、それでも今のところかなり満足の行く製品であるのは確かである。

 いつもは少し離れた位置にあるスピーカーから(こちらもワイヤレスで)音を流していたが、手元から流れる便利さというものもある。スピーカーをいくつも揃えておくというのも考えてみれば贅沢な話ではあるが、これを使い分けすれば、それぞれの利点を十分活かして、お手軽音楽ライフを楽しむことができることになる。ほんのささやかな贅沢ではあるが。

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