英語の語源の話
楽しみながらボキャブラリーが増える
佐久間治著
研究社
拾い読みでも楽しめる
英語学習者にお奨めの本
英語の語源に関するエピソードをトリビア的に紹介していく本。
著者は「はじめに」で、「(ここで紹介するエピソードは)一銭の得にもならなければ、腹の足しにもなりません。本書のおかげで英語に対する理解が深まったとか、謎が解けて溜飲が下がったなどという感謝の言葉はもとより期待していません。」と書いていて、確かに序盤は「カナリアは鳥ではなく犬」とか「プードルはフランスではなくドイツ原産の犬」(第1章の第1節と第2節のタイトル)とか、くだらないエピソードが多いが、途中から英語学の本質に迫るようなエピソードが多数出てきて、知的満足感は高い。たとえば「afraid」は元々が「afray」という動詞の過去分詞形で「be afraid of 〜」はそもそもが受動態であり、母体であるafrayが死語になったため、現在は形容詞的な扱いになっているという話はちょっと英語学の本質に迫ってんじゃないかいと思わせる。ちなみにashamedやfondも同様らしい。また「不定詞は一種の名詞である」(第3章第2節)、「不規則動詞は単母音節語のみ」(第3章第4節)、「nextはnearの最上級だった」(第3章第10節)、「nineの-eは複数語尾で、wideの-eは副詞語尾」(第3章第13節)、「語尾-iで終わる英単語はない」(第4章第6節)、「英語アルファベットにVの文字はなかった」(第4章第7節)もかなり内容が濃く、目から鱗が落ちる思いがする。英語学に少しアプローチできたように感じて、英語学入門書としてはなかなか良いんじゃないと思う。ただしここで語られている内容にどの程度信頼が置けるかはちょっとわからない。なんとなく眉唾みたいな記述が多いような多くないような……。とは言え、侮れない本であることは確か。とても読みやすく、何だったら拾い読みでも良い。英語学習者にお奨めの本である。