ネイティブスピーカーの前置詞
ネイティブスピーカーの英文法〈2〉
大西泰斗、ポール・マクベイ著
研究社出版
英語学習のショートカット
『ネイティブスピーカー』シリーズ第2弾は、前置詞についての解説。
高校英語じゃ前置詞の意味について細かく解説することはあまりない。一つには、連語(イディオム)として生徒に憶えさせる方がずっと簡単だからで、教える側が前置詞の意味についてこれまであまり考えてこなかった可能性も十分ある。僕自身は幸いなことに予備校で前置詞の意味などについて細かく学習していたため、必要以上に連語の丸暗記に時間を取られないで済んだ。そういう点は非常にラッキーだった。
さてこの本なんだが、前置詞について、本来の意味(つまり「基本イメージ」)とそこから派生した副次的な意味を紹介し、こういったものを前置詞の「家族」としてまとめている。たとえば「on」であれば「上に接触している状態」が基本イメージで、そこから「線上のon」、「支えのon」、「方向のon」、「直接的影響のon」、「進行中のon」が派生してきたということをかなり細かく説明している。
別の項でも書いたように、僕が予備校で学習した内容と非常に似ていて、しかも後半の「場所をあらわすin、on、at」や「時をあらわすin、on、at」などは同じようなくくりで勉強した記憶がある。著者も僕と同じ先生に習ったのかと思った、というか今でも少し疑っているんだが、誰かがこういう本を出してくれないかなと長い間思っていたため、この本を見つけられたのは少し喜ばしくもある。ただ一部、前置詞の解釈に釈然としなかった部分もあるのは確かで、やはり意味の解釈については著者独自の見解に基づいていると見た方が良い。つまり、これが絶対的なものではないということである。forやofの基本イメージについては別の解釈の方が適切なのではないかと感じている。
それでもやはり、このような本が手の届く範囲にある今の高校生にはうらやましさも感じる。英語学習者の皆さんには、是非こういった本を手にとって、英語の世界にどっぷり浸かってもらいたいと思う。