英語の「なぜ?」に答える
はじめての英語史

堀田隆一著
研究社

素朴な疑問を手始めに
言語の歴史に足を踏み出す

 英語学の本だが、英語についての素朴な疑問に答えていくというアプローチで英語の本質に迫ろうという一風変わった趣向の本。

 こういう切り口だと、テーマとして立てられている素朴な疑問がどの程度興味深いかで面白さが決まると言えるが、この本についてはなかなか面白いテーマが取り上げられている。たとえば「なぜ"a apple"ではなく"an apple"なのか?」、「なぜ三単現に-sを付けるのか?」、「なぜIf I were a birdとなるのか?」などは興味深いテーマであると言える。一方で「なぜHelp me!と叫ぶのにAid me!とは叫ばないのか?」、「なぜI you loveではなくI love youなのか」は設問としてはあまり面白くないが、実は英語の歴史と深く関わるようなトピックで、内容については読み応えがあった。さらに言えば、「sometimesの-s語尾は何を表すのか?」、「なぜ1つの単語にさまざまな意味があるのか?」などは、設問もつまらない上、内容も面白味がなかった。

 このように内容についてはテーマごとに玉石混淆ではあるが、全体的には興味深い内容が多かった。歴史が言葉にどのように影響するかがよくわかるし、特に英国の歴史が波瀾万丈であったことを考えると、英語は言語学の題材としては面白い存在であると思う。そういう点では、言語学入門としても良い。僕自信は、図書館で借りて読み終えた後、新刊書を買った。実際、繰り返し読みたくなるような類の本である。

-英文法-
本の紹介『英文法の「なぜ」』
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本の紹介『英語の歴史』
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本の紹介『〈意味順〉英作文のすすめ』
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本の紹介『語源でふやそう英単語』
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本の紹介『英語の語源の話』
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本の紹介『語源でわかった! 英単語記憶術』
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本の紹介『ネイティブスピーカーの英文法』
-英文法-
本の紹介『ネイティブスピーカーの前置詞』