コンピューターってどんなしくみ?
村井純監修、佐藤雅明監修
誠文堂新光社
図解・コンピュータの周辺
『子供の科学★ミライサイエンス』というシリーズの中の一冊で、子ども向けにコンピュータやネットワークについて、その原理を図解付きで簡単に紹介しようという本。
丁寧な作りの本であるにもかかわらず、監修者は紹介されているが著者名が表に出ていない。まず、そのあたり大いに疑問符が付く部分で、監修者ばかり持ち上げるのはいかがなものかと思う。おそらく中身は『子供の科学』の編集部が作っているんだろうが、せめて「子供の科学編集部」を著者名として表に出しても良いんじゃないだろうか。
それはさておき、本自体は先ほども言ったように割合丁寧に編集されているが、内容が通り一遍で、もう少し深い部分でコンピュータの仕組みについて解説してほしかったというのが率直な感想である。たとえば、コンピュータは、CPUとストレージとメモリと入出力装置で構成されている –––– などといったレベルの基礎知識で終始しているため、僕としてはほとんど得ることがなかった。もっとも子ども向けに平易に語るというのが主題なので、それはそれで致し方ないのかも知れないが、これだと中学技術科の教科書のレベルである。新しい視点がほとんどなく、あまり面白味もない。図解が多いのが唯一の長所と言えるか。
それを考えると、「コンピューターってどんなしくみ?」というタイトルがあまり内容を反映していないことが、僕の不満の一番の原因ということになるのか。内容的には『図解・コンピュータの周辺』みたいなタイトルの方が近い。もっともこのタイトルだったら、僕は最初から読まなかっただろうが。