コミック昭和史 第2巻 満州事変〜日中全面戦争

水木しげる著
講談社文庫

同時代の視点による昭和史

 『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な水木しげるによる昭和史である。全8巻のうちの第2巻。図書館で借りたので中途半端なところから始まることになった。

 水木しげる作であるため、本作は当然マンガで(マンガでないエッセイ本も出ているようであるが)、水木しげるの個人史とその時代背景が重ね合わされて、時代経過にあわせて綴られる。半藤一利の『昭和史』と同じような発想の本で、本作の方が時期的には早いようだ。ということで元祖である。

 時代背景の部分は、予備知識がなければ少しわかりにくい。実は当時小学生の子どもにも読ませようと思って図書館で借りてきたのだが、小学生にはちと難しすぎるような気がする。全編を貫く歴史観は偏っておらず、おそらく当時の著者、つまり庶民レベルから見た歴史観なのであろう。このあたりは半藤一利の『昭和史』と共通している。

 時代背景の部分と個人史の部分が交互に出てくるような構成になっているが、なんといっても抜群に面白いのが個人史の部分である。水木しげるという人は、すでにさまざまなテレビ番組でも語られているが、あまりに破天荒で、どのエピソードも面白い。たとえば、ドーナツ(というもの)を食べたくて兄弟3人で20km先まで歩いて買いに行ったなどという話がとてもリアルに(マンガで)語られる。絵も丁寧で、相当な力作である。著者としては自分史のつもりで描いた作品ではないかと思うが、入魂のペンによってその思い入れが伝わってくる。ちなみに時代背景の部分はネズミ男が語り部を務めるが、このあたりも堅苦しさを和らげる効果があって非常に良い。

 値段も安いんでいずれ全巻買ってもいいかなと思っているところである(その後、全巻購入した)。

-マンガ-
本の紹介『コミック昭和史 第1巻、第3巻、第4巻』
-マンガ-
本の紹介『コミック昭和史 第5巻〜第8巻』
-マンガ-
本の紹介『のんのんばあとオレ (マンガ版) (1)〜(2)』
-随筆-
本の紹介『のんのんばあとオレ』
-日本史-
本の紹介『昭和史 1926-1945』