ビギナーズ・クラシックス 万葉集

坂口由美子偏
角川ソフィア文庫

ホントにビギナー向けの入門書

 「ビギナーズ・クラシックス」シリーズの1冊で、『万葉集』を素材にしたものである。

 要は『万葉集』から百首近くを取り上げて、その現代語訳、解説の純で紹介していくという、割合ありふれた万葉秀歌集で、特にこのシリーズだからどうというのはない。選ばれた和歌も有名なものが多く、柿本人麻呂や大伴家持の歌が多い。大伴旅人の酒の歌や笠女郎かさのいらつめの恋の歌など、テーマごとにまとめて紹介されているものもあるが、このあたりも比較的平凡かとも思う。額田王や大津皇子の有名なエピソードも、当然扱われている。

 個人的には山上憶良らの長歌に興味が湧いた。長歌にはこれまであまり感心がなかったにもかかわらずである。また、「解説」で紹介されている万葉集に関するあれこれの情報も、なかなか興味深い内容であった。ただ全般的には「ビギナーズ・クラシックス」らしくビギナー向けの『万葉集』入門書というレベルでとどまっている。もっとも僕には、それがちょうど良いレベルだったが。

-マンガ-
本の紹介『天上の虹』
-日本史-
本の紹介『古代史の十字路』
-日本史-
本の紹介『人麿の運命』
-古文-
本の紹介『ビギナーズ・クラシックス 梁塵秘抄』
-古文-
本の紹介『「古今和歌集」の創造力』
-古文-
本の紹介『古典和歌入門』
-古文-
本の紹介『和歌のルール』