高校生向けおすすめ英語長文問題集②
旺文社『全レベル問題集4、5、6』
前回に引き続き、英語長文問題集編②です。今回も問題文、問題重視という視点です。前回の『おすすめの参考書・問題集①』は、比較的易しめの問題集でしたが、あちらの問題集が終わった、あるいは物足りないという人、難関大学を受けたいがどうしたら良いか……という人向けにはこちらは格好の素材ではないかと思います。今回紹介するのは、旺文社の『全レベル問題集』シリーズです。
全レベル問題集 英語長文4 三浦淳一編著、旺文社
全レベル問題集 英語長文5 三浦淳一編著、旺文社
全レベル問題集 英語長文6 三浦淳一編著、旺文社
問題文に面白い内容のものが多いというのが、一番のおすすめ理由です。面白味のない文章を読むのはつまらないものです。学習のために読むといっても、内容が退屈であれば、時間をかけたことが無駄に感じるということも良くあります。いかに英文であっても、内容のあるものを読みたいというのが人情。そこでこの『全レベル問題集』ということになります。
特に6の「国公立大レベル」では、自然科学から哲学まで幅広い内容で、比較的新しい学問分野である行動経済学の問題まで出てきて、内容的に大変興味をそそられるものが並んでいます。ただ、問題は粒ぞろいですが、難易度はかなり高いかも知れません。とは言え、内容が理解できれば、知的好奇心がかなり刺激されるのではないかと思えるような素材です。せっかくなので内容を紹介しましょう。
全レベル問題集 英語長文4「私大上位レベル」
- ナショナリズムの発生(岩手医科大)
- 複数の言語を持つ国々(明治学院大)
- 近代オリンピックの光と影(東京理科大)
- リー夫妻の北海道旅行(法政大)
- 現行経済理論の限界(中央大)
- 左利きであること(南山大)
- 環境問題への取り組み(茨城大)
- 技術革命の問題点(大阪歯科大)
- 新しいコミュニケーションツール(青山学院大)
- 睡眠は極上の楽しみ(学習院大)
- 世界中に広がる気候変動(立教大)
- オンライン学習の利点と欠点(明治大)
本文の内容としては、5、6、10(特に10)が面白いと言えます。
全レベル問題集 英語長文5「私大最難関レベル」
- 個人と集団に対する態度(関西学院大)
- アメリカのシェークスピア(早稲田大・教育)
- 採用面接で本当に重視されるべきこと(上智大)
- Ia型超新星の研究史(慶応大・理工)
- ボツワナの奇跡(東京慈恵会医大)
- 話される言葉と書かれる言葉についての認識(立命館大)
- 児童の認知形成(同志社大)
- オーストラリアの生態系の特異性(関西大)
- 犯罪捜査におけるDNA鑑定(慶応大・法)
- フェアトレードについての誤解(早稲田大・政経)
本文の内容としては、3、5、6、9、10あたりが比較的目新しい素材です。だが4はいただけない。むしろ悪問の類と言えるかも知れません。興味のある人以外は、飛ばしても良いんじゃないでしょうか。
全レベル問題集 英語長文6「国公立大レベル」
- アメリカ先住民ナバホ人の逡巡
(東京大) - 呼吸と体の反応
(奈良県立医科大) - 伝達された悪口への対処
(九州大) - 「無」についての歴史的考察
(京都大) - クジラのコミュニケーション
(大阪大) - 実験的行動の重要性
(新潟大) - プライミング効果
(北海道大) - 淡水魚と海水魚の身体構造
(東北大) - 行動経済学入門編
(一橋大) - 身体化認知
(名古屋大)
本文の内容としては、1、3、5、9が面白く、先ほども紹介した9は、なかなか斬新です。4は、書かれている内容の難易度がかなり高いですが、私個人としてはかなり面白いと思いました。問題も記述式のものが多く、出題者に一定の意図を感じられるような良問が多いと思います。