本の雑誌風雲録

目黒考二著
本の雑誌社

初めて読むつもりで読み始めたが
実は二度目だった

 『本の雑誌』という書評雑誌がある。1976年に創刊したため、できてからかれこれ50年近くになる。僕も25号から50号ぐらいまで毎号買って読んでいたが、その後はほとんど読まなくなった。僕が読んでいた頃は隔月刊(もしくは不定期刊)であったが、その後月刊化されて今に至る。かつては、特に首都圏では関係者がみずから書店に配本していたという話で、僕は当時地方に済んでいたため地方・小出版流通センター経由で配本されたものを読んでいたことになる。少なくとも取次会社は経由していなかった(らしい)。

 本書は、その頃のことを『本の雑誌』発行人にして創業者である目黒考二が語るというもので、僕はすっかり忘れていたが、1985年に最初に発刊されたときにすでに読んでいた。本書は2008年に復刻された「新装改訂版」であるが、読んでいるうちに前に読んだことを思い出したのだった。

 『本の雑誌』を始めたいきさつに始まり、書店への直接配本の時代について目黒考二が回想しながら書き綴った創業記である。特に最初の頃は、ボランティアの学生の手を借りて首都圏の配本を行っており、そのあたりの活動が(出版社としては)ユニークといえばユニークだが、どこかクラブ活動の回顧談みたいな話で、読んでいてもあまり面白味を感じない。

 実は最近『本の雑誌』創業記を描いたマンガが登場したらしく(『黒と誠 〜本の雑誌を創った男たち〜』)、それを知って今回この『風雲録』を読むことにしたんだが、あまりドラマになるような要素はないと感じた。『黒と誠』には当初興味を持ったが、結局、読むまでもないかと本書を読んで自分で納得したのだった。

-随筆-
本の紹介『かつをぶしの時代なのだ』
-社会-
本の紹介『まっ直ぐに本を売る』
-社会-
本の紹介『13坪の本屋の奇跡』
-社会-
本の紹介『私は本屋が好きでした』
-社会-
本の紹介『ベストセラー伝説』