私は本屋が好きでした
あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏

永江朗著
太郎次郎社エディタス

つまらない本が
自然淘汰される時代が来ればいいと思うが
この本も微妙なラインではある

 書店に溢れるヘイト本(嫌韓、反中本)に嫌気がさした著者が、こういったヘイト本が溢れる原因を究明しようとする本。そのために書店関係者、取次、出版社、編集者、ライターの順に川下から川上へ向かって取材していき、取次会社の見計らい配本(取次会社が書店に本を勝手に送ってくる制度)と委託制(返品条件付きの仕入れ方法)が原因ではないかと推定する。その上で、書店側が売りたい本を自律的に仕入れるようにしなければ、ヘイト本などの差別本(著者は存在自体に問題があると考えているようだが)がなくなることはないと考察する。

 また、ここ数十年の間に出版点数が異常に増え、同時に本の質が低下したことも、同様の理由と考えているようで、このあたりも共感できるところである。

 このように、内容についてはまったく異存はないんだが、全体的にかなりダラダラした記述で、しかも散漫な印象が常についてまわる。本書は一般書籍には違いないが、内容的にはムック本みたいな印象すらある。とりとめがないという感覚が、特に後半つきまとって、読むのに飽きてしまったということはあえて書いておきたいところである。

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