英単語の語源図鑑

清水建二著、すずきひろし著、本間昭文絵
かんき出版

語源から英単語を憶えようという本
絵が多いため記憶に残りやすい……かな

 語源を利用して英単語を憶えようというアプローチの本で、入試参考書と考えた方が良いのかも知れない。

 『語源でふやそう英単語』『語源でわかった! 英単語記憶術』などの本と同じコンセプトだが、大きく違うのはイラストがふんだんに使われているという点である。したがってイメージが沸きやすい、つまり暗記しやすいということになる。イラストは「丸に点々で顔」みたいな単純なもので、面白味はあまりない。取り上げられている単語も少ないし、優しい単語だけでなくかなり難しい(英検一級レベルの)単語もそれなりに混ざっている。それを考えると大学受験のためにこの本に取り組んで全部憶えようとするのは無駄が多いような気もする。むしろ、大学受験とは関係なく英語の勉強をしたいという層が一番のターゲットになるのかも知れないが、そういう点で多少どっちつかずの中途半端さは残る。

 まあしかし、たとえ拙いにしてもイラストで印象付けようという試みはきわめて的を射ている。大量の単語をリストで並べられてもまず憶えることはできないだろうし。その上、索引も付いているなど、良い本を作ろうという工夫も見受けられる。そういう点で、語源学習入門としては格好の本になっているのではないかと思う。アマゾンのレビューによると(少なくとも第4刷までは)誤植が多いという話であったが、僕が買った第7刷では、誤植に気が付かなかったんで、随分改善されているのではないかと思う。そのあたりも出版に対する真摯さが窺われる。

 なお収録されている単語は約1000だが、そのうち3分の1は派生語として紹介されているだけなんで、実質的には500〜600語というところかな。ただこういうコンセプトの本であればそれで十分なような気もする。語源辞典風の本が必要だというのであれば、『語源中心英単語辞典』みたいな本を常時手元に置いておくのも良いのではないかと思う(ただしこの本、必ずしも使いやすいわけではなく、調べたいが収録されていないという単語も目立つ。良い本だとは思うが)。

-英語-
本の紹介『語源でふやそう英単語』
-英語-
本の紹介『英語の語源の話』
-英語-
本の紹介『語源でわかった! 英単語記憶術』
-英文法-
本の紹介『はじめての英語史』
-英語-
本の紹介『英語の歴史』