実見 江戸の暮らし

石川英輔著
講談社文庫

江戸の複雑だが合理的なシステムに感嘆

 講談社文庫から出ている石川英輔の本であることを考えると、この本も『大江戸』シリーズの1冊と考えることができる。この本の主眼は、江戸での生活を、数々の絵図を参照することで再現してみようというもので、そのために図版が非常に多い構成になっている。

 例によって過去の石川本の焼き直しが多く、今回もあまり得るところがないかなどと思って読み進めていたが、後半の「江戸時代のお金」、「明六ツ、暮六ツの世界」、「旧暦の世界」は非常に充実していて、感じるところが多かった。それぞれ江戸時代の貨幣制度、時刻、暦について書かれたものだが、その説明が網羅的かつ詳細で、目からウロコ状態である。著者の過去の本でも扱われている題材であり、僕自身も概ね「知ってるつもり」ではあったが、それをはるかに超える充実ぶりで、内容については専門書並みと言えるほどである。しかも石川英輔独特のうまい語り口でそれが語られる。江戸の時代考証という点で自分にとっての教科書になるんではないかという内容であり、この本は僕にとって保存版である。

 それにしても江戸の通貨制度と暦は、現代人の我々から見るとはなはだわかりにくくなかなか憶えられない。しかしそういうものでありながら、その底辺に合理性が横たわっているということを知るにつけ、江戸という世界の複雑さ、奥深さをあらためて感じるのである。

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