コロナワクチン その不都合な真実

アレクサンドラ・アンリオン・コード著、鳥取絹子訳
詩想社新書

ありそうでないものは……
「mRNAワクチンの成功例」

 新型コロナワクチンは、これまで至る所でその問題性が語られてきたが(実際、数多くの被害者を生み出しているわけだが)、ほとんどがウイルスや免疫の門外漢によって語られていたという点が少しばかり残念な点であった。例外は『ワクチン幻想の危機』の大橋眞(免疫学が専門)と『京大 おどろきのウイルス学講義』の宮沢孝幸(ウイルス学が専門)くらいで、もちろん門外漢であっても、今回のワクチンの問題性はいくらでも指摘できるわけで、それぐらい今回のワクチンには問題があったわけだが、しかし、同分野の研究者から見ておかしいと感じることがあるのであれば、それはまた大きな説得力を持つのではないかと感じる。現に、大橋眞が指摘したPCR検査流用の問題性やウイルス分離の困難さなどは、専門家でなければなかなかわからない。同じ専門の人間から見ると明らかにおかしいと感じることはどのような分野にも存在し、そういう方面からの指摘が個人的には欲しいと感じる。

 本書の著者は、フランス国立衛生医学研究所で長いこと研究員を務めてきた人で、RNA研究の分野では有名な人らしい。本書では、その著者がRNAについてわかりやすく紹介し、医療分野でのRNAの活用がこれまでまったくうまくいっていなかったことなどを丁寧に紹介する。

 近年、体内の多くの作用がRNAを通じて行われるという事実が明らかになってきたために、そのRNAを利用した医療が検討されるようになる。そこでmRNAを使った薬剤開発が進められてきたのが、この数十年の傾向である。ところがRNAが人間の想定を超えた作用を持っていることから、薬剤開発は現実にはなかなかうまく進んでこなかったのである。たとえばmRNAを使った皮膚ガン治療用ワクチン開発は20年前から進められているが、良好な結果をもたらすことなく失敗している。他にも肺がん、エイズ、狂犬病、脳腫瘍などに対するmRNAワクチンの開発が試みられてきたが、好ましくない副作用が出たりして、すべてが失敗に終わっている。中には遺伝子レベルで影響を及ぼすと考えられるものまであり、mRNAによる治療法の研究はまったくはかばかしくないものだった。

 その流れが変わったのが2020年の新型コロナの流行で、ワクチン開発が急がれた結果、特例措置としてmRNAワクチンが、治験を簡略化した上で市場に出回るようになったのであった。これまでmRNAワクチンについては治験で何一つ良い結果が出なかったにもかかわらず、急遽作られた新型コロナ向けのmRNAワクチンが世界中で特効薬として公認されたわけである。ただ医薬を含む科学の世界で、需要が増したからといって、それまで無理だったものが急に可能になることなどあり得ないわけで、これまでのワクチン開発失敗の過程を鑑みると、その問題性は火を見るより明らかである。

 また、今回のmRNAワクチンについては、(通常必須条件として求められる)フェーズ1とフェーズ2の治験が省略されているだけでなく、製薬企業が臨床試験の資料を公開していない(ファイザーに至っては今後75年間公開しないことになっているらしい)ため、その過程はまったくのブラックボックスの中にあり、(ファイザーの関係者を除く)すべての人にとって疑問だらけであるという現実もある。しかもファイザーが公表している「副作用リスト」の中には遺伝性疾患まであり、ということは次の世代への影響まで考えられるということで、どう考えても安全と断定できるような要素はない。

 本書で紹介されているmRNAワクチン失敗のこれまでのいきさつを知るだけでも、今回の「新型コロナワクチン」の問題性を認識できるが、本書には、スパイクたんぱく質を生み出すという今回のmRNAワクチンの作用機序についても説明があり、そこでは、このmRNAワクチンが人体に大変危険な影響を及ぼす可能性について言及されている。すでにワクチンを接種した人にとってはどれも衝撃的な内容ではあるが、残念ながらそれが現実ということなのである。少なくとも、行政機関によってワクチン接種が推奨される以前に、これぐらいの情報は公開される必要があったのではないかと思うが、結局のところ、善良な市民は為政者の都合で簡単に騙されてしまうという結論になるのである。

 本書は、全体的に簡潔で、記述も平易であるため、非常に読みやすい。内容もインパクトがあり、本書が著者の母国フランスでベストセラーになったというのも納得できる。こういう内容の情報は日本でも広く知らされるべきであり、遅きに失した感はあるが、今からでもマスコミや行政が主導になってこのような事実を広く公開すべきじゃないかと感じる。現実的にはそういうようなことはないだろうが。

医学、生物学
本の紹介『ワクチン幻想の危機』
-社会-
本の紹介『ワクチン神話捏造の歴史』
医学、生物学
本の紹介『新型コロナワクチンの光と影』
医学、生物学
本の紹介『薬害 コロナワクチン後遺症』
医学、生物学
本の紹介『ワクチン副作用の恐怖』
医学、生物学
本の紹介『もうワクチンはやめなさい』
医学、生物学
本の紹介『インフルエンザワクチンは打たないで』
医学、生物学
本の紹介『子宮頸がんワクチン事件』