薬害 コロナワクチン後遺症
鳥集徹著
ブックマン社
ワクチン被害者の実態に迫るルポ
2020年に「新型コロナ」という「致死率が高い」とされる感染症が世界中で流行し、その原因とされるウイルスに対する「ワクチン」が異例の早さで作られた。その「ワクチン」の接種が全世界で奨励され、そして非常に多くの人々が、大して疑問を抱かずその「ワクチン」を接種した。今回の「新型コロナ」騒動を、やや批判的な視点で総括すればこういうことになろうか。
だが、こうして醒めた目で振り返って見ると、かなりツッコミどころがあることがわかる。まず「致死率が高い」というのがどこまで真実かがよくわからない。「ワクチン」についても薬効と安全性が証明されていない(薬剤会社が出した「論文」という名の広告が立脚点)。特に安全性については、この「ワクチン」がきわめて短期間で認証されてしまったために、短期的なものならいざ知らず、長期的な安全性は証明できるわけがない。実際には短期的な安全性でさえまったく保証されていなかったのではないかというのが、本書を読むとよくわかる。
この本では、新型コロナワクチンを接種してから、その直後に異変を来した人々に取材し、その事例を紹介しているが、当日まで元気で普通に生活していた人々が、ワクチン接種を境にして、生活を激変させていく様子が生々しく、そら恐ろしさすら感じる。ここで紹介されているのは十数例ぐらいだが、twitter上ではかなりの報告があったそうで、その中の何人かに取材した上でここに集めて紹介したということである。ネット上では、ワクチンに対する疑義やワクチン被害については多くが検閲(あるいは自主規制?)されていたようで、あまり表に出てこなかったがtwitterには出ていたそうである。それを考えるとtwitterも存在価値があったわけだ。
それはともかく、ここで紹介される人々に共通しているのは、ワクチン接種後、急に身体に異変を来し、その後異常な状態が長く続くというものである。しかも、身体の異常を訴えて病院に行くんだが、多くの場合検査で異常が見つからないため(ワクチン被害は概ねそういうものである)、「ワクチンとは一切関係ない」と言われたり「精神的な問題」と言われたりして、取り合ってもらえないのである。結果的にいろいろな病院を訪ね歩くドクターショッピングの状態になり、しかも方々で精神的に傷つけられることになる。身体状況の改善に繋がるという情報をどこかで見つけると、藁にもすがる思いでそれに飛びつくというのも、多くの被害者で共通している。
被害者の症例は、胸痛、動悸、呼吸困難感、筋力低下、歩行困難、不正出血などで、心臓疾患や腎臓疾患まである。もちろん、何の症状もなかった人も多いようだが、たとえば0.1%にしか問題が出ていないと仮定しても(実際はもっと多いようだが)、数千万人が「コロナ」ワクチンを接種しているため、計算上は日本で数万人規模の人々に問題が出ることになる。こうなると史上最大の薬害と言っても過言ではなく、本当であれば、行政側がこの薬害の状況を追跡調査し把握しなければならないような一大事であると思うんだが、実際は官民一体になって被害をないことにしようとしているんだから始末が悪い。少なくとも、騙されて(あるいは半強制で)ワクチンを打って酷い目に遭っている人については行政レベルで救済するのが筋であるが、それすら行われていないという実情がある。行政側そして医療側は自分の間違いを認めたくないんだろうが、被害者にとっては生活が無茶苦茶にされたわけで、それでは収まりがつかない。少なくとも、被害者の実態調査ぐらいはすぐにでも始めるべきである。
なお本書の著者は、『コロナ自粛の大罪』などの本を立て続けに出してコロナ問題を追求している医療ジャーナリストの鳥集徹である。この本自体は、内容はともかく、他のコロナ本同様誤植が多く、そのあたりは残念。また、コロナワクチン後遺症の機序についての論考もあり、参考にはなるが、これについては「話半分」という感じ。