新型コロナワクチン 影の輪郭
大石邦彦著
方丈社
バラエティ番組的な作りは何とかならないのか

中部日本放送(CBC)所属のアナウンサー、大石邦彦は、同局の『チャント!』という番組で、コロナワクチン後遺症の被害者を追ってきており、他のマスコミがコロナワクチン礼賛を決め込む中、果敢に調査報道を行ってきた。報道機関としてきわめて当たり前の姿だと思うが、他のマスコミの態度があまりにひどかったことからその姿勢が際立っており、その結果、彼の番組は放送・報道に関連する数々の賞を受賞してきた。
その大石邦彦が、番組の内容をまとめた本(『新型コロナワクチンの光と影』)をかつて出したが、本書はその続編という立ち位置になるようだ。前著と同様、ワクチン後遺症で苦しむ人々に取材し、その状況をまとめたものである。番組映像のような写真が随所に(カラーで!)掲載されているため、ほとんどが『チャント!』で映像として伝えられたものの再録であると思われる。そのためか、これも前著同様、取り上げ方がバラエティ然としており、読者(視聴者)の情緒に訴えるような記述が非常に多い。テレビで取り上げる分には、こういう方法論はある程度仕方がないと言えるのかも知れないが、本だと非常にくどく感じる。もちろん、そういうのが好みという人もいるかも知れないが。
コロナワクチン禍のミクロ的な悲劇がよく伝わり、しかも現在、被害者による薬害訴訟の動きが活発化しているなどといった情報もあって、そういうものは目新しく感じたが、誤植が多く、本としての完成度はきわめて低い。大手の報道機関が関わっている(と思われる)本なんだからその辺何とかしたら良さそうなんだが、コロナ本の「あるある」ではある。ただ新型コロナ禍、コロナワクチン禍については、絶対に総括が必要であるのは間違いないため、今でもこうやって活動を続けているCBCと大石氏は立派であると言うことができる。それは間違いない。