脱ネット・スマホ中毒

遠藤美季著、高原玲漫画
誠文堂新光社

対談形式のネット依存啓蒙書

 タイトルは『脱ネット・スマホ中毒』だが、本書で扱われているのは、厳密に言えばネット・スマホ依存症。

 ネット依存に関連する任意団体の主宰者である著者が、さまざまなネット依存事例を紹介する。全6章構成で、各章ごとに著者+2人が対談し、さまざまなネット依存を取り上げて議論していくという体裁になっている。適宜症例を描いたマンガが挟まれる。マンガは作画の質が高い。

 紹介されるのは、(主として若者の)LINEやSNSへの依存、ソーシャルゲーム依存、ネット恋愛の他、ネット依存が原因で家庭が破綻した例、家庭内暴力が引き起こされた例なども取り上げられる。すべて対談形式で読みやすくなってはいるが、読みやすいという以上のメリットは感じられない。かえってまだるっこしさを感じる部分も多い。

 街で見かける若者たちもスマホをいじっている人間がやたらに多いことを考えると、ネット依存人口は想像以上なのかも知れない。この本に接して特にそういう思いを強くした。親側の感覚から考えると、よく中高生にスマホなんか与えるよなーと思うんだが、自分の子供に訊くとスマホを持っていないのは超少数派なんだそうだ。依存当事者の子どもたちだけでなく、大人の方もスマホについて何も考えていないということがよくわかる。新しいモノがまわりに登場したら、一歩引いてそれについて検討してみるというのも大切なんじゃないかな。

 この本については、正直、内容的にはあまり目新しさを感じなかったが、ネット・スマホ依存の状況が思った以上にひどいということはよくわかった。周りにネット依存者がいる人なんかは、とっかかりとしてこの本を読むのもアリなんじゃないかと思う。途中、ネット依存度を計測する指標みたいなものもある。

医学、生物学
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-社会-
本の紹介『僕らはそれに抵抗できない』
-社会-
本の紹介『スマホ依存から脳を守る』
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本の紹介『スマホはどこまで脳を壊すか』
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