子どもと親のためのワクチン読本
知っておきたい予防接種
母里啓子著、えのきのこイラスト
双葉社
ワクチン接種の圧力に備えるための『家庭の医学』
『もうワクチンはやめなさい』の著者、母里啓子によるワクチン読本。あの本も非常に良い本だったが現在品切れ状態で、法外な値段で売られていたりするため、今買うならこちらの本が良いのではないかと思う。そもそも定価の四・五倍もする価格で古本を売ろうとする商売は明らかにおかしいし、そういう品物は一切買うべきではないと個人的には思う。あの本が品切れであるならば無理に手に入れようとする必要はないし(電子書籍版であれば定価で入手可能)、こちらの本も十分役に立つ良書で、あの本の代替になると断言できる。
本書は、若い親が持つであろうワクチンに関する疑問に対してQ&A形式で答えていくという体裁になっている。しかも1項目について見開き2ページで完結する構成になっており、同様の他書に比べても読みやすさは群を抜いている。それぞれの疑問(Q)自体が適確である上、回答(A)も的を射ており、安心して読める本であると言える。ちなみに著者は、かつてワクチン開発にも関わった医師であり、ワクチンの開発の現場は当然のことながら、それぞれの乳幼児向けワクチンがどのように定期接種として導入されてきたかといういきさつもよくご存知で、それについても紹介されているため、そのあたりの事情もよくわかる。そして、子ども向けワクチンの多くが、大した根拠もなくなし崩し的に導入され、現在のような状況になっているというのだ。
実際のところ現在では、子どもが生まれると、2歳になるまで定期接種(国が推奨する無料の予防接種)で8種類(2回以上打つことになっているものもあるため15回以上)、任意接種(国が許可しているが強くは推奨していない予防接種)についても3種類(6回以上)打つよう勧められている。ワクチンはどれも安全性が100%保障されているわけではなく、死亡を含む重篤な問題の原因になることが多いにもかかわらず、これだけ大量の(ワクチンという名の)異物を乳幼児の体内に入れても良いものなのか、本来であればそこから考えるべきなのだが、「国が勧めているから安全なんだろう」というような安易な事大主義がほとんどの日本人にはびこっているため、多くの親は子どもに大量のワクチンを接種させる(僕自身もそうだった)。だが実際に導入(「定期接種」化)の過程やそれに伴うドタバタ騒ぎ(定期接種にしたが副作用が多発したためすぐにやめたなど)を本書を通じて聞くと、そもそもがゼロ思考に近い状態で導入されていることが見えてくる。
著者は、はしかと破傷風のワクチン以外はどれも乳幼児に打つ必要はないとする。はしかと破傷風についても必要性を感じれば打つことを選択すれば良いというスタンスで、どのワクチンも有害事象が発生しうるため、親の側にも一定の思慮と覚悟が必要としている。だが実際ははしかも破傷風も現在では混合ワクチンの形で接種され、混合ワクチンや同時接種の危険性についてもあまり省みられていない。複数の病原体が一度に体内に入ることは自然状態ではほとんどなく、それを人工的に行うことは(しかも乳幼児に対して)想定以上の影響を生じさせる可能性があるわけだ。そのことをことさら挙げるまでもなく、とにかくワクチンはあらゆる部分で危険性がなおざりにされており、そういう状況が本書から窺える。
最後の第7章でそれぞれのワクチンについて一つ一つ取り上げ、導入のいきさつや必要性について検討を重ねて、短くまとめているが、これも非常にわかりやすく大変有意義なまとめ方と言える。新しく子どもを持った親は、まず第一にこのような情報を得るべきで、それが、ワクチンが原因の子どもの死亡事故やさまざまな障害を減らすことにつながる。いずれにしても、いつまでも現在のようなゼロ思考のままではいけないということだ。