店長がバカすぎて
早見和真著
ハルキ文庫
展開がバカバカしすぎて
流行りの小説はめったに読まないが、最近Amazon Audibleで本書の朗読版を聴いていたことがきっかけとなって、原作を読んでみた。朗読を聴いているのが途中からまだるっこしくなったので、活字版に当たったというのが正直なところである。
主人公は、東京の書店員(29歳女性、契約社員)で、鈍感な店長や失礼な客などに振り回される毎日が続いている。いろいろと感じるところや思うところが表明されながらストーリーが展開されていくが、最後の方はミステリー仕立てになるというエンタテイメント作品である。
ストーリーは割合しっかり作られていて、描写にも破たんはないし文章も悪くないが、わざわざ買って読むような本だとも感じられない。こういう本が好きな人、たとえばこの小説の主人公みたいな文芸好きな人にとっては良いのかも知れないが、僕と流行小説との間に壁というか齟齬のようなものがすでにあるせいか、こういう小説に格段の興味が湧かない。最後なんかは何じゃこりゃと思った上、作りすぎで少しばかりバカバカしさも感じたほどで、一生懸命になって集中するようなものでもなかったと今にして思う。
Audibleでは「本屋大賞」関連ということで推薦されていたが、これまで「本屋大賞」関連では、『天地明察』以外、面白いものに出会ったことがない。そもそも僕自身がエンタテイメント小説が好きではないということもあるのだが、いずれにしても読んだところでどうというような感慨が湧かなかいわけである。本書の前にAudibleで聴いた「くちびるに歌を」もなんだかなあという程度の感想しか湧かなかったが、流行小説自体が、僕にとってそんなものなのかも知れない。つまらないとは思わないが、残るものもあまりなかった。
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