Chronicles of My Life

Donald Keene著、Akira Yamaguchiイラスト
Columbia University Press

原書でキーン先生の文章に触れる

 毎日新聞にドナルド・キーンに関する連載が載っていて、それにたびたび本書の記述が(英語のまま)引用されていたため、興味を持って買ったのがこの本。翻訳が出ていないと思っていたため、高価なペーパーバックを入手して原文で読んだわけであるが、読んでいる途中で翻訳が出ていることを知った(『私と20世紀のクロニクル』)。翻訳が出ていれば翻訳を読むんだったものを、何だか騙されたような気がする。ともかく折角大枚をはたいて買ったんで最後まで頑張って読んでみた。

 内容はキーン先生の半生記であるため、『ドナルド・キーン自伝』『思い出の作家たち』と割合重複していて、著書をすでに何冊も読んでいる僕としてはそれほど目新しい記述はなかった。これまで他の書であまり語られなかった子ども時代の話が詳しく出てきてそのあたりが少し新鮮であったのと、ケンブリッジ大学時代や京都大学時代の個人的な話が特に興味深かったが、それについてもまったく知らなかったわけではないため、全般的に新鮮味は少ない。

 むしろ、ドナルド・キーンの文章に英語で触れられたのが一番の収穫かも知れない(怪我の功名というヤツ)。また山口晃のイラストもマンガ風でなかなか楽しく、こちらは上記の翻訳版ではすべてが紹介されているわけではないため、山口画伯のイラストを見たければこちらの本がお勧めということになる。

 そうは言っても、頑張って原書で読むだけの価値があったかどうかは疑問。翻訳を素直に読んでも良かったのではないかと読み終わった今思う。結局僕は翻訳本の方も買ったのだった。

 なお表紙の写真は、膳所ぜぜにある芭蕉の墓の前に立つキーン先生。

-随筆-
本の紹介『私と20世紀のクロニクル』
-随筆-
本の紹介『ドナルド・キーン自伝』
-評論-
本の紹介『思い出の作家たち』
-文学-
本の紹介『ドナルド・キーン わたしの日本語修行』
-評論-
本の紹介『日本人の質問』
-文学-
本の紹介『「ニューヨーク・タイムズ」のドナルド・キーン』
-文学-
本の紹介『日本人の美意識』
-評論-
本の紹介『日本語の美』
-評論-
本の紹介『百代の過客』
-文学-
本の紹介『百代の過客〈続〉』
-文学-
本の紹介『日本文学史 近世篇〈一〉』
-日本史-
本の紹介『明治天皇〈一〉』
-マンガ-
本の紹介『谷崎万華鏡』